高麗人参の残留農薬
健康食品としての高麗人参の安全性を考えるには、残留農薬についても理解しておいたほうがよいでしょう。高麗人参に適用される残留農薬の基準が詳しくわかれば、高麗人参を選ぶ判断に困ることはありません。
高麗人参は、基本的に農薬や化学肥料を使用して栽培するものではありません。高麗人参そのものにダメージが出るため、人工肥料を使用することさえ避けるのが原則だからです。
日本国内では、野菜などの農産物に対して、品種別残留農薬の上限量が指定されています。そして、主にお茶やサプリメントとして摂取する高麗人参は加工食品として扱われ、一律の上限基準が設けられています。0.01ppmを超える残留量があると販売が禁止されます。
これは2006年から厚生労働省で取り入れている「食品に残留する農薬に関する新しい制度」(ポジティブリスト制度)の中で決められているルールです。
また、高麗人参の主な原産地は韓国や中国であることから、輸入したものを使用している可能性があります。この場合は販売メーカーなどが、輸入の際に正式な手続きを取っているので、高麗人参の残留農薬が健康被害を及ぼすことはないでしょう。
販売目的の輸入をする場合、厚生労働省の検疫所食品等輸入届出を行う必要があり、原材料や製造工程などの説明を添付したうえで審査を行っています。審査に通過すると検疫所から「食品等輸入届出済証」という書類が発行されます。
ただし、2007年に独立行政法人 国民生活センターが公表した資料では、有機塩素系殺虫剤であるBHCや有機塩素系抗菌剤のキントゼンが、国内の一律基準である0.01ppmを超える商品があったと報告しています。BHCとキントゼンの2つは、国内で使用することも販売することも禁止されている農薬です。
ほとんどの高麗人参は、国内の残留農薬基準に従って安全性を確保していますが、ごくまれに残留農薬が検出されるケースもあります。そのため、高麗人参の残留農薬を避けるためには、信頼できる販売元を探すことが大切です。